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不動産の豆知識 その29

例えば山を削って造成した分譲地があるとします。
道路が縦横に通り、一定の面積で区割りされていきます。
山の下の方は平地で、中腹の区画はなだらかな傾斜地、上部の方はもう少し傾斜がきつい段上になっています。
平地の分譲地は車の出入りもスムースで、分譲地へのアクセスも容易です。
価格も上部よりは高めです。
上部の区画は傾斜がきつく、雪が積もる時期には登れないことがあるかもしれません。
地面が平ではないので駐車スペースの配置が限られたり、玄関へのアプローチが制限される可能性もあります。
ただしこの様な制約があるためか価格が安かったり、ひと区画の面積が広かったりしています。
何よりも、上部には木々が残されています。
山の最上部は自然のまま残されたため、林につながる別荘地といった趣が感じられます。
こうした分譲地があったとして、あなたはどの区画に心惹かれるでしょうか。
スタンダードに平らな区画を選びますか?でも残念、平地の物件は人気で既に完売していました。
上の方なら、まだ残っているそうです。
上の方なら価格が少し安いので、建物に充てる予算を増やせそうです。
本当は平地の方が良いのだけれど仕方ありません、かねてより気になっていた大手ハウスメーカーに相談してみました。
この土地には、どんな家が建てられるでしょうか?何度か足を運ぶうちに、すっかりその土地が気に入っていたあなたは、多少物足りない気持ちでいます。
イメージパースを見ても、心弾むものがありません。
予算が予算だから仕方ない、諦めることにしましょうか。
休日にふらっと入った建築事務所で土地の図面を見てもらう内に、あなたはいつしか饒舌になっていました。
せっかくの土地なのに、もう少し活かせないものか。
現地を見てもらっている時、その人が言いました。
「傾斜を利用して、1階は物置にしましょうか。
実質的には地階になるわけですが」。
「南側は眺望が良いですね、大きめのデッキかインナーバルコニーを置いたら素敵でしょうね」「この辺りには木も多いので、それとマッチする素材を選びたいものです」。
話をする内に、あなたは楽しくなってきました。
いっそのこと2階は広いLDKと水回りだけにして、3階をベッドルームにしてしまおうか。
でも予算には限りがある、本当にそんな家が建てられるのか?話し合うべきこと、打ち合わせが必要なことはまだまだ多いものの、それは時間をかけてクリアしていけば良い。
あなたの心はワクワク感に満たされていました。
これこそが家を建てる醍醐味です。